ブログを書くのは久しぶりだ。
今日は「です」「ます」ではなく
ちょいとかためのトーンの気分だ。
6月11日にトークイベントを終えた後
休む間もなく
アウトプットを重視した
BIカードユーザー向けの講座作成に
文字通りゼロから
取りかかっていたのだが
ようやく峠を越えた感がある。
今日は生成AIとの向き合い方について
個人的な見立てと合致する
良質な対談を発見したので
それを紹介したいなと思う。
〈特別公開〉対談 わかりたいヒトとわかったふりをするAI
認知科学が専門で人間の言語学習に詳しい
今井むつみ慶応義塾大教授と
言語学者の川添愛氏の対談。
岩波書店の雑誌「世界」2023年7月号の記事が
特別公開としてWEBに掲載されたものである。
(まずは早めに閲覧することをおすすめする。)
いくつか印象的な言及を
順不同で抜き出してみる。
・「チャットGPTの基盤には、自然な単語の列を生成する側面と、人間が「良い」と判断しそうな答えを追求する側面の二つがある」(川添氏)
・「相手の要求をわかっているようにふるまう、それがものすごくうまい機械」(今井氏)
・「これは原則として「帰納による推論」なので、つねに正しい出力をすることは原理的に不可能です。精度がどれほど上がっても、間違いが完全にゼロになることはありません。」(川添氏)
・「自分の知らない分野で頼りにすると火傷をしかねない。」(今井氏)
・「チャットGPTはスキルと直観のある人にとっては、仕事を大幅に効率化してくれる道具になり得るけれども、そうでない人にとっては諸刃の剣です。」(川添氏)
・「言語処理の関係者からすれば、「チャットGPTに嘘を教えられた」とショックを受けている人がいること自体がショック」(川添氏)
これだけでも
生成AIは言葉の意味を本当にわかってはいない。
生成AIは簡単に「真実」を教えてくれるものではない。
ということがわかる。
(以前書いたこの記事でもモノマネが得意という話をお伝えした)
そして、人間の知性のスペシャルなところは、
身体を使い経験を伴うことで言葉の意味を会得していく。
「やってみる」「言葉にする」。
ここにある。
ということも次の指摘から
改めて学んだ。
・(ヘレンケラーのエピソード)「ポンプから出る冷たい水に触れながらw-a-t-e-rという指文字を教えられることで、「water」という言葉が実際の水を表すことを悟った。」(川添氏)
・「チャットGPTはあのウォーター事件の前の状況にあると思います。」(今井氏)
・「洞察とか直観って、そうしたプロセスの経験がないと身につかないものでしょう。成功した体験だけでなく、間違い、失敗も含めていろんな状況で積み重ねることで知の構造であるスキーマができてくるし、身体の一部になる。だからこそ必要な時に取り出せる、生きた知識になるわけです。」(今井氏)
・「ただの受け売りを言っているだけか、使っている材料は自分がソースではなく、他者の書いた本やネット情報であっても、自分で推論をしてつないでいっているのか。後者の人はたぶん、記号接地ができている。だけど秘書が用意した原稿を読んでいるだけの人はそれを理解できているとはいえない。こんなふうに見るようになったのも、チャットGPTで遊ぶようになってからです(笑)」(今井氏)
今後人間の「脳」とAIが融合するような
そんな時代が来るとすれば(十分あり得る)
またこの考察も変わらざるをえないのだろうが
少なくともChatGPTに関しては
あたかも「神」のように崇め奉り
素人がマーケティング用語に踊らされ
中途半端に焦って高いお金を払い
使えるかわからないプロンプトだけを学ぶ
という「熱狂」からは距離を置き
この対談で触れられた
わかったふりをする意味わかっていない
生成AIの本質をしっかり捉えておき
「やってみる」「言葉にしてみる」
プロセスを大事にし
身体性と経験を伴う人間らしい知性を
ブラッシュアップしながら
AIについては必要なときに
便利な道具として「活かす」方向で
引き続きキャッチアップしたい
と思う次第なのである。
そして可能な限り
整って見える他人の受け売りだらけの
ペラペラの情報からも距離を置き
鈍臭くても身体性と経験を伴う
自分ならではの推察に富んだ情報を
大切にしたいなとも思う。
ちなみに。
私が推奨するカードリーディングというのは
なんとかの存在と繋がってどうこうではなく
偶然という必然の力は使うものの
「やってみる」「言葉にしてみる」
というプロセスを経て
シンボルと結びつくメッセージを
浮かび上がらせることができるようになる。
というものである。
忖度したりポジティブ上書きすることのない
リーディング姿勢が大切だったりするし
物質であるカードを
身体の一部を使って
触ったり引いたりするわけだから
身体性と経験を伴い
より良い未来へのヒントを得ていく
とっても人間らしいツールじゃないかな。
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