本日のお題は「霊感商法」。
巷でたいへん話題になっておりますが、
何となくのイメージが先行していると感じたので、
「霊感商法」の定義を確認してみました。
先にお伝えしておくと、
わたしが提供するサービスは、
これにまったく該当しませんので、
ご安心くださいませ。
やや固い話題ではありますが、
占いもスピリチュアルもすべて霊感商法だ!
と決めつける偏見に、
繋がってほしくないなあとおもっているので、
わたし自身の頭の整理もかねて、
あえて触れてさせてください。
霊感商法のイメージ
つい法律上の定義から入りたくなる元公務員ですが、
まずは警視庁のホームページから、
一般的な霊感商法のイメージとして引用します。
単なるつぼや印鑑・置き物などに、あたかも超自然的な霊力があるように、
言葉たくみに思わせて、不当に高い値段で売り込む商法です。
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/higai/shoho/reikan.html
これだけを読むと、
「単なるつぼや印鑑・置き物など」と書いてあるから、
原価の低い物体に、
何とかパワーがあるからと称して、
非常に高値で売りつけることだね。
と思ってしまう方も、
意外と多いのかもしれません。
たしかに、昨今話題の某団体の、
〇〇〇〇万円の本、とか、
インパクト強いですものね。
霊感商法の法律上の定義
じつは、
法律上の定義を確認してみると、
物体に限らないのですよ。
除霊なるものや加持祈祷なども該当します。
霊感商法にあたるかどうか、
ポイントは、
どんな勧誘をしているのか。
なんですね。
・霊感などの特別な能力があるとアピール。
・そのままでは重大な不利益を与える事態が起きると不安をあおる。
・契約を締結することにより確実に重大な不利益を回避できる旨告げた。
この3つが揃って、何かを買わせると、
法律上の霊感商法に該当するようです。
いちおう、条文も載せておきましょうか。
ざっくりいうと、
消費者を、
事業者の悪質な勧誘から保護するために、
消費者契約法があり、
その第4条で、
こういう場合は悪質なので、
消費者側は契約を取り消すことができますよ、
ということを定めています。
この第4条3項6号において、
霊感商法が定義されています。
「当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること。」
さきほど挙げた3つのポイントが、
この条文に書かれていますね。
・霊感などの特別な能力があるとアピール。
・そのままでは重大な不利益を与える事態が起きると不安をあおる。
・契約を締結することにより確実に重大な不利益を回避できる旨告げた。
このポイントを満たすと、
消費者契約法第4条3項6号に基づく「霊感商法」として、
消費者側は、契約を取り消すことが可能となります。
取り消し対象となる「消費者契約」は、
消費者(個人)と事業者との間で締結される契約。
物体などの有形物の売買に限定されていません。
消費者と事業者(個人事業主も含まれる)との間で、
交わされた契約が3つのポイントを満たしていれば、
有形物が対象ではなくても、
霊感商法に該当し得るということです。
そもそも「霊感」「重大な不利益」って?
つぎに気になるのが、
そもそも「霊感」とか「重大な不利益」って何だろう?
どこかに解釈が定められているのかしら?
ということ。
(注:霊感について)
「霊感」とは、除霊、災いの除去や運勢の改善など、超自然的な現象を実現する能力を指します。「その他の合理的に実証することが困難な特別な能力」としては、いわゆる超能力が当たります。(注:重大な不利益について)
当該消費者の死亡や病気のみならず、家族の死亡や病気も含まれます。また、不幸になる等、漠然としたものであっても含まれます。※消費者契約法の一部を改正する法律に関する一問一答 問19より
重大な不利益というのは、あなたは不幸になる、といった、
漠然とした内容であっても、該当するのですねー。
昔、テレビによく出ていた霊能者や占い師の方々、
かなり不安を煽っていたような記憶があるのですが、
この条文がまだない頃でしたので、
堂々としていられたのかもしれません。
どんな場合が考えられる?
「霊感商法」に当てはまって契約を取り消せるかどうか、
厳密には、個別具体的なケースごとに、
最終的には司法の場で判断されるわけですが、
どんな場合が当てはまりそうか、
例を考えてみました。
現実世界で不幸が続き、不安になっている方に対して、
例えばこのような勧誘をして困惑させ、
高額な商品(サービス)を買わせたらアウトでしょうね。
「わたしは〇〇(神とか天使とか実証が難しいもの)と繋がることができます。
あなたの不幸の理由は、△△の因縁や、カルマが原因ですね。
悪霊もついています。早く何とかしないと、この不幸はずっと続いていくでしょう。
わたしの能力をもってすれば、この因縁を解除できますし、悪霊も祓えます。」
占い師でも、ただ占うだけではなく、
パワーストーンブレスなどの商品を扱う方もいらっしゃいますが、
万一、このような悪質な勧誘を行って購入させた場合、
その価格にもよるでしょうが、
「霊感商法」として、
契約を取り消される可能性がありそうです。
このほか、こちらのサイトにも、
参考になる例が書いてありました。
https://hamakado-law.jp/blog/news/1970
こんな売り文句には要注意。
実は、不安をあおって、
何かを買わせるという手法自体は、
世の中にあふれています。
「いまだけ割引、次はもうない」戦法とかね。
でも、病気になるとか、不幸になるとか、
命が、、とか、
そんな煽り文句で、
高額商品を売りつけるのは、
ちょっと次元が異なりますよね。
警視庁のホームページに「このことばは要注意」
と列挙されている売り文句をご紹介します。「玄関に入ってすぐ悪霊がついているとわかった」
「悪霊がついて次々に不幸なことがおこります。」
「このつぼは悪霊を取り除く力があります。」
「このつぼを飾っておくと、その日から良いことがあります。」
「この印鑑を使うと幸運になります。」
「印鑑を作り替えないと悪いことがおこります。」
「このつぼを毎朝拝めば悪霊が去って幸せになります。」
いかがでしょうか?
SNS等では、類似の売り文句を、
よく見かけませんか?
わたし自身、
占いサービスを提供する側として、
いかに商品の魅力を伝えようか、
本当に悩ましく、
いつもうなりながら書いています。
占いをうけた「だけ」で〇〇になる、
のではなく、
あくまでご自身のチカラを信じ、
人生を切り開いていくきっかけにしてほしい。
そうおもって、
メニューの紹介を書いていますが、
霊感商法に対する敏感な視線が集まっている中、
無用な誤解を招くことがないよう、
表現には十分に気を付けたいなとおもいます。
霊感商法に関するお困りごとがあるときは、
専門機関(消費者ホットライン)や専門家(弁護士や警察)に相談なさってね。
どなたかのご参考になれば幸いです。