失敗しても、
自分という人間の存在価値は、
なくならない。
そう思えるようになるまで、
時間はかかった。
まずは自分の価値は、
こまごまとした物事の成否で左右されるものではない、
と思い込むことからはじめた。
小さな失敗をしたときは、
波立つ感情をもう一人の自分が観察することで、
悲しんでいる自分を無理やり抑え込まずに、
寄り添いつつ、
失敗しない方法を冷静に考えることができるようになった。
失敗するたびに、
自分に失望し、怒り、
胸の中に石ころをため込むような日々は、
ようやく過去のものになった。
そう実感できたのは、
じつはここ数年の話。
自らの原因でご迷惑をかけたら、
誠心誠意謝る。
でも自分の価値を下げない。
どうすれば同じ失敗をしないか、
考える。
でも自分の価値を下げない。
失敗と、それに対する周囲の評価と、
自分の存在価値とを切り離す。
失敗が怖いのは、
おそらく、
失敗すると自分の存在価値が揺らぐから。
そのような価値基準の中で生きてきたから。
失敗を恐れすぎて行動できないのなら、
まずは、
失敗したって、
自分の存在価値は絶対失われない、
ということを、
思い込む必要があるのかもしれない。
そして、失敗したとき、
少なくとも自分だけは、
自分に対して、石ころを投げ入れないでほしい。
心からそう思う。